JLPGA大会情報・速報

 第28回を数えるゴルフ5レディスプロゴルフトーナメントが7年ぶり6度目となる北海道美唄市のゴルフ5カントリー美唄コースで開幕した。開催週になって13人の欠場、直前に1人という事態も波乱。結果ウェイティングからの出場選手は7名、102選手での大会となった。明け方にかかった大きな虹は祝福しているかのようであったが、第1組スタート時には雨、そして風。時々日が差すこともあったが、終始雨に見舞われ、櫻井心那に「今年最悪の荒天」と言わしめた強風が選手たちを苦しめ、序盤から大きくスコアを伸ばす選手が現れなかった。

 そんな中で4アンダーまで伸ばした鶴岡果恋が単独首位に立てば、今度は12番でバーディーを奪った小祝さくらが連続バーディーで単独首位に。5アンダーとして2打差をつけたが、1打差に迫ってきたのが櫻井心那。しかし櫻井は14番で初ボギーを叩き、変わって伸ばしてきたのが最終スタートだった鈴木愛。13番から4連続のバーディーラッシュ、7アンダーで3打差独走状態に。しかし、美唄コース名物ホール・浮島グリーンの17番で躓き、初ボギー。18番の5mのパーパットをねじ込んで切り抜け、結果2位に2打差の単独首位で初日を終えた。

 その小祝さくらは2打差の単独2位、櫻井心那は3打差の単独3位。4打差4位タイグループには、鶴岡果恋を始め、篠崎愛、木下彩、天本ハルカといった初優勝を目指す面々と、ルーキーイヤーで今季初Vを挙げた飛ばし屋・神谷そらの計5人。5打差9位タイグループには安田祐香、尾関彩美悠や、ベテラン横峯さくら、若林舞衣子、アマチュアの横山珠々奈など10人が名を連ねる。

 ほか注目選手では、本大会2年連続プレーオフの吉田優利は3アンダーまで伸ばすも、16・17番でまさかの連続Wボギー、7打差の27位タイまで後退した。同じく27位タイには注目の岩井ツインズ・明愛と千怜、目下年間女王レースをリードする申ジエらがつける。

 実は本大会、過去27回で初日に首位に立った選手で優勝したのは6回、確率にして22.2%しかない。プレーオフ突入率は37%、美唄コースに関しては60%とまさに白熱する大会であり、コースである。明日からは天気が回復傾向とのことなので、ますますアツい戦いが繰り広げられることだろう。どうぞご期待ください。

低弾道のショットで巧みに風を克服、前半を3バーディーノーボギー、後半は怒涛のチップインを含む4連続バーディーで単独首位の鈴木愛。今季2年ぶりに通算18勝目を挙げ、あの強い鈴木愛が帰ってきた。7年前このコースで、首位タイで迎えた最終日に「75」を叩いて6位タイに終わった悔しさを忘れていないだろう。

今季初の地元北海道Vを挙げ、通算9勝目。黄金世代最多勝利数を誇る小祝は、15番まで単独首位に立っていたが16番で初ボギーを喫し、単独2位。首位とは2打差だからまだまだわからない。北海道2勝目で節目となる10勝の大台に乗せることができるか?

昨季ステップアップで5勝を挙げ、今季レギュラーツアーで初Vどころかすぐに2勝目を挙げた櫻井心那は4バーディー1ボギーで3打差の単独3位。悪天候の中でパーオン率88.9%と安定感が光る。翌週のメジャーは地元長崎県だけにここで勢いをつけて故郷に錦を飾りたいだろう。

年間女王を争う申ジエと山下美夢有が同組で対決。結果は山下が2バーディー2ボギーのイーブンで19位タイに対して、申ジエは1ボギー以外オールパーで1オーバー27位タイ。出入りが激しいわけでもなく落ち着いたスコアだけに2日目以降、ふたりはきっと伸ばしてくるに違いない。2日目、申ジエは岩井ツインズと同組、注目が集まる。

 昨日の荒天とは打って変わって晴天のもと始まった予選第2ラウンド。風は少し強め、昨夜降った雨でウェットなコースを選手たちはどのように攻略し、どこまでスコアを伸ばすかがポイント。最終組の鈴木愛・小祝さくら・櫻井心那はもちろんのこと、注目組としては岩井ツインズと申ジエの組や、最終組の一つ前の初優勝を目指す3人、同期の稲見萌寧・菅沼菜々に続きたい鶴岡果恋、黄金世代14人目のVに期待の木下彩、そして、まだ賞金ランキング100位以内に入ったことがない篠崎愛が大金星を狙う。ベテラン、若手、アマチュアが入り混じった混戦が予想された。

 いきなり鈴木と小祝がバーディー発進するが、鈴木は3番ボギー、4番をバウンスバック。5番で2つ目のボギーを叩き、小祝に5番で追いつかれたものの、また6番で一歩リード。一方の櫻井は4番から4連続バーディーを奪い、鈴木を捉えトップタイの7アンダー。後半に突入し、10番グリーン上で急に大粒の通り雨が襲う。その影響か小祝はまさかの3パット、二人に2打差をつけられる。雨の中、櫻井が11番で落とし、再び鈴木の単独首位に。ここで雷こそなかったが競技中断が入る。そしてわずか15分後に再開。13番で鈴木がバーディーを奪い2打差リード、14番ロングは3人揃ってバーディー。16番で鈴木がボギーを叩くが1打差を守りきり、結果、鈴木8アンダー、櫻井7アンダー、小祝6アンダーと、2位と3位が入れ替わっただけで、最終日最終組も同じ組み合わせとなった。

 そのほか若林舞衣子が2度の3連続バーディーで首位に一時並んだが、結果は5アンダー4位タイ。同じく4位タイにはベテランの横峯さくらと、黄金世代13人目の優勝を狙う木下彩。さらに4打差の7位タイグループに年間女王レースで申ジエを追う立場になった山下美夢有、2勝目を狙う神谷そら、初優勝を目指す金澤志奈がつけている。

 初日いなかったボギーフリーは、4つ伸ばした山下美夢有、3つ伸ばした14位タイの永峰咲希、2つ伸ばした18位タイのイ ナリと佐藤心結。また、昨日鶴瀬華月のホールインワンのみだったイーグルは、不思議なことに共に予選落ちを喫したサイ ペイインの14番ロング、高木萌衣の16番ミドルだけだった。加えて、一時はイーブンまで戻し、姉妹揃って予選通過圏内にいた岩井千怜が難関16番ミドルで5度も湖に入れ「14」を叩いたこともニュースとなった。好調な選手といえどゴルフはこういうことも起こりうるから怖いスポーツである。

 さぁいよいよ明日は最終日。僅差ゆえに毎年繰り広げられる首位の入れ替わりの激しいデッドヒート、さらには美唄コース開催60%のプレーオフ突入も可能性がある。1ホール、いや1打ごとに変わる優位あるいはプレッシャーが観戦する者にとってはたまらなくエキサイティングである。また、アマチュアが横山珠々奈(-2)、中澤瑠来(-1)、六車日那乃(+1)、髙野愛姫(+2)と4人も予選突破。ベストアマチュア争いにも注目だ。天気予報は良好、白熱の戦いにどうぞご期待ください。

本大会で初日TOPに立ち優勝を掴んだのはわずか6人だが、そのうち5人は3日間首位の完全優勝。前週から一度北海道を離れ、コンディションを整えて戻ったという鈴木愛は、辛くも単独首位を守っただけに完全優勝で通算19勝目を狙う。

2日間のボギー数は鈴木と小祝が4つに対してわずか2。本人はまぁまぁというが、安定感は一番。今季の優勝は2回とも逆転Vだけに3勝目に期待がかかる櫻井心那はまだ19歳。

今季4戦目の北海道開催を、自身の通算10勝、地元のファンのため逆転で大会2勝目を目指す小祝さくら。最終日の目標は「集中力を切らさないこと」。

共にママさんプレーヤーの横峯さくら(37)と若林舞衣子(35)が首位と3打差の4位タイ。通算4勝ながらママさんVを達成している若林。通算23勝の横峯もママさん初Vを夫婦で獲りに行く。

 大会最終日、スタート前にコースが濃霧に覆われたが無事に予定通り第1組スタート。3日間で最高の天気で、最高の一日が始まった。初日の早朝の虹、そして雨と最高風速12m以上の風。2日目には瞬間的な大粒の通り雨、そして虹。これらはすべてこの日の素晴らしいドラマの前兆であり、お膳立てだったにちがいない。そう思わせるほどのデッドヒートと、最高のキャストが競演するドラマチックなラストが待っていた。当然だが、2日目と全く同じ最終組の3人、鈴木愛・櫻井心那・小祝さくらが中心となって目まぐるしくゲームは進んでいく。

 早速1番から動き出す。幸先よくバーディーを奪ったのは鈴木と小祝。これで鈴木が小祝と櫻井に2打差をつける。続く2番で櫻井が伸ばし、1打差ずつに戻る。4番で小祝が2位タイに迫ると、5番で鈴木がボギー、櫻井がバーディーで首位が入れ替わり、櫻井が単独首位。しかしそれも束の間、6番で鈴木がバウンスバック。8番で鈴木が2桁アンダーに乗せ単独首位に。難関9番では小祝がセカンドを湖に入れWボギー、櫻井がバンカーからパーをセーブできず、ハーフを終えて鈴木が10アンダー、櫻井8アンダー、小祝は6アンダーの3位タイグループに吸収された。

 鈴木の優位です進むかと思われたサンデーバックナイン、10番。鈴木がボギー、小祝が巻き返しのバーディーで、また3人の差は1打ずつに。これでまたわからなくなった。続く11番で鈴木がまさかの連続ボギーで櫻井と並ぶ。この時2組前の山下美夢有が小祝と並び1打差3位タイに浮上する。12番のグリーン上では先に小祝がバーディーを決めると、鈴木は外してパー、櫻井は難なくバーディー。これで再び櫻井が単独首位に立つ。次に伸ばしたい14番ロングは鈴木だけがバーディー、これでまた櫻井・鈴木が並ぶ。1打差に小祝、2打差に山下と木下彩、神谷そら。15番ショート、鈴木がボギーで櫻井が三度単独首位に。ここで山下が17番で見事バーディーを決め、1打差8アンダーに鈴木・小祝・山下が並ぶ。迎えた最難関16番ミドル、ここで見せたのは小祝。ついに小祝が首位を捉えた。だが、最終18番でバーディーをねじ込んだ山下も9アンダーで並び三つ巴に。

 運命の最終18番。ここも高難度、バーディーが難しいホール。セカンドショットは鈴木から。ピン奥にグリーンオン、バーディーを狙える位置に。続く小祝は左サイド、バーディーは厳しい距離。最後に打った櫻井のボールはピン横にズバリ、バーディーチャンス。獲らねば獲られるという状況で打った小祝のパット、追いつきたい鈴木のバーディートライは共に外れる。そして、満を持して打った櫻井のバーディーパットはカップに吸い込まれ、激戦にピリオドが打たれた。

 決めた櫻井は小さく拳を握っただけ、三人は激闘を称え合った。前週のニトリレディスから帰ってコンディションを整え戻った鈴木。一方の櫻井も一度長崎に帰りリフレッシュして気力を充実させ北海道に戻ったという。明暗を分けたのはやはり安定感だろうか…櫻井は崩れる感じがしなかった。3日間、各1つずつのボギーだった櫻井に対し、鈴木は計8ボギー。小祝も4ボギーと何より1Wボギーが響いた。
 しかし、鈴木は3日間で16個のバーディーを奪い、15個の柏原明日架、石井理緒、小祝を僅差で交わし最多バーディー勝を手に入れた。また、大会史上最多のアマチュア4人が予選を通過。共にプロテスト最終予選経験者対決となったベストアマチュア争いは、櫻井と同世代の中澤瑠来(るな)が獲得した。また、ベストルーキー賞には5アンダー11位タイの天本ハルカが輝いた。

昨季ステップアップツアーで5勝を挙げ賞金女王になった櫻井は、今季LPGAツアー初Vからすでに3勝目。まだ初々しさの残る19歳だが、宮里藍・畑岡奈紗に続く“10代で3勝”をやってのけた。

地元で声援も一番多かったに違いない小祝さくら。節目の通算10勝目はお預けとなったが、16番の渾身のバーディーは誰もが震えたシーンだった。

2日目、最終日はボギーフリー、3日間で2ボギーは最少。最終日の17・18番のバーディーで追いついたあたりは役者、さすがの女王だった山下美夢有。

7年前もこのコースで最終日首位タイから脱落した苦い思い出をリベンジしたかったはず。誰よりも悔しい一日なったが、きっともうあの強い鈴木愛であることにちがいない。